巨大地震の痕跡 見物海岸

館山から沖ノ島を超えて、洲崎へ向かう途中に見物海岸があります。この場所にある海岸段丘は房総半島の地震の歴史を考えるときによく出てくるスポットです。

砂浜の隣にある黒々とした岩場ですが、このように2段に分かれています。近くで見ると凄い迫力がありますが、これは房総半島での巨大地震のたびに隆起してできたものです。

下の段は高さ約1.5mあって、関東大震災によって隆起したものです。上の段は江戸時代の元禄地震によるもので、元禄地震は関東大震災を上回る規模の巨大地震でした。

研究の結果、関東大震災クラスは200-300年に1回、元禄地震クラスは2000年に1回のペースで発生していることが分かっています。その痕跡をはっきりと見ることのできるこの場所は非常に重要なものです。

ちなみに地震のたびに地盤が隆起するお陰で、房総半島南端の館山や白浜、千倉では津波の被害が少ないという意外な特徴があります。鋸南町では関東大震災は隆起により津波被害が無く、反対に元禄地震では沈降により壊滅的打撃を受けました。元禄地震では外房や九十九里の津波被害も恐ろしいものがあります。