移動平均線
目次
移動平均線
移動平均線とは
移動平均線とは直近のローソク足の価格の平均値を線で結んだものです。もっとも基本的なインディケーターで、この移動平均線の値を使って作られるMACDやボリンジャーバンドといった別のインディケーターも存在します。
相場が上昇しているのであれば移動平均線も上昇し、下落しているのであれば移動平均線も下落します。ローソク足だけを見ていると、細かな値動きに囚われてしまって「上に行った!」「いや、下か!?」「いやいや、やっぱり上!」というように混乱してしまいがちですが、移動平均線はそうした相場の揺れを平均化してくれます。
「移動平均線が上昇しているから、一時的にローソク足は下げているけれど、今は上昇相場」というように相場の方向性を分かりやすく示してくれるのが移動平均線です。
英語ではMovingAverageですので、省略してMAと言われることもあります。
移動平均線の種類
移動平均線にも種類があり、単純に直近価格の平均を表示するものを単純移動平均線(SimpleMovingAverage=SMA)と言います。
指数平滑移動平均線(ExponentialMovingAverage=EMA)もよく使用され、これは移動平均の期間の中から直近の値にウェイトを掛けたもので、SMAよりも機敏に反応しやすいという性質があります。
MT4では他に平滑移動平均線(SmoothedMovingAverage=SMMA)、線形加重移動平均線(LinearWeightedMovingAverage=LWMA)が使用できますが、あまり使われないのでここでは解説しません。
実際の相場で移動平均線を見る

こちらが移動平均線をチャートに表示したものになります。期間は25に設定しているので、直近のローソク足25本分の価格の平均が表示されています。ローソク足の上下に動く様子が大分滑らかになっていることが分かると思います。
緑色のラインがSMA、赤色がEMAのラインで、同じ期間25の移動平均線ながらEMAの方がトレンド発生時に素早く反応していることが分かると思います。
移動平均線の使い方
期間による移動平均線の性質
移動平均線は相場の方向感を見るために使用しますが、設定する期間によってその性質が異なってきます。長い期間を設定すれば相場の大きな流れを把握するのに役立ち、短くすれば細かな動きに反応するのに役立ちます。
100や200といった大きな期間を設定する場合、大まかなトレンド方向が示されていますので、トレンドフォローの手法などに使われやすいです。
一方、3や5といった1桁の短い期間では相場の細かな波形の切り返しを示しているため、短期的なスキャルピングなどで使われます。
10、20といった中くらいの期間ではその日の大まかな動きを示しているので、デイトレで使われることが多い印象を持っています。
期間の異なる移動平均線の組み合わせ

実際のトレードでは期間の異なる移動平均線を組み合わせて使用することが多いです。ここでは例として3本のEMAを表示させてみました。期間は2,25,200となっています。
200EMAの上に相場がブレイクしてきたため、全体として相場は上昇方向と判断して買いエントリーを狙っていきます。200EMAは相場に対して「買い」と「売り」を判断するために使用します。
中期の25EMAと短期の5EMAはエントリーのタイミングを計るのに使用します。2本のMAが上方向にクロスすることをゴールデンクロス、下方向にクロスすることをデッドクロスといい、これをサインとしてエントリー/決済を行うのがよくある使い方です。
チャートでは25EMAと5EMAのデッドクロスが発生したところで相場がいったん調整に入ったと認識します。しかし相場自体は200EMAの上にあるため上昇方向で、どこかのタイミングでゴールデンクロスが発生するだろうと考えられ、そのチャンスを待つことにします。
調整した相場が一時的に200EMAを割り込みますが、すぐに上に戻された後でゴールデンクロスが発生するので買いエントリーを実施。そのまま上昇していってデッドクロスが発生したところで利益確定となります。
期間は重要ではない
よく「移動平均線は何を使っていますか」「期間は何が良いでしょう」という話を聞きますが、自分が何を狙ってトレードするかによって変わってきます。
移動平均線は相場の値動きを平均化した数字にすぎませんので、5,25の組み合わせが素晴らしい成果を上げるトレンド相場があるとしても、別のトレンド相場では10,20の組み合わせの方が利益が出るかもしれません。長期足として100と200を出しましたが、75を使用して利益を上げている人もいます。
トレンドが形成される動きを研究したうえで、自分が使いやすい時間足の組み合わせを考えて過去検証で試してみてください。使いやすいなと思ったものを採用すればいいです。
この組み合わせなら大丈夫だと思って検証してみると、意外にチャンスが来なかったり、逆にサイン点灯しまくって負けが積みあがったりということがありますので、過去検証は本当に大事です。
過去検証を行って、自分の採用したロジックがどういう場面で機能しやすいのか、負けやすい場面はどこかをよく分析すれば、勝ちやすい相場を判断する能力が身について、勝てる相場でだけでトレードして利益が出せるようになっていきます。