ポートフォリオの作り方

お金を貯める考え方

投資を始めるようと思っても「まず元手がないよ」という人は多いです。普通に暮らしているだけではなかなかお金が貯まらない。「投資は余剰資金で」というのはよく言われる言葉ですし、実際失敗して全財産を失っては大変なので、失敗しても立ち直れるだけの体制を作っておく必要があります。

FXトレードを始めれば最初はまず上手くいかないし、余裕資金がなければプレッシャーが掛かって余計に失敗しやすくなります。FXトレード自体は10万円からでも始められますし、勝ち続けることができるようになれば少額資金がものすごい勢いで増えていくので、自分の実力をつけることにフォーカスして練習を繰り返すことがとにかく大事です。

それでも資産形成に対する基本的な考え方というのは知っておくべきでしょうし、私の考えではFXトレード自体は「投資」ではなく「仕事」だと思っています。会社に行って給与を稼ぐのと同じく、相場に向き合って利益を稼ぐもの。そうやって稼いだ資金を使って「投資」することで不労所得により経済的自由へ至る、というのが私の考え方です。

まずはお金に対する考え方を私に教えてくれた3冊の本を紹介します。

金持ち父さんのキャッシュフロークワドラント

「経済的自由」という名前が世の中に大きく広まるきっかけとなったのはロバート・キヨサキの「金持ち父さん」シリーズになります。私もこのシリーズを何冊も購入しましたが、特に読んで良かったなと思うのは「金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント」です。

お金持ちと貧乏人の違いというのは「収入の多い/少ない」ではなく「収入の使い方」であるということを説明した内容で、未読の方はぜひ一度手に取って読んでみることをお勧めします。

この本はキャッシュフロー、つまりお金の流れについて解説しています。貧乏人というのは自分の収入を持ち家や自家用車、旅行などを買うために使用するので、いつまでも収入に依存した生活から抜け出せないし、会社が倒産したら路頭に迷うしかなくなってしまう。一方で金持ちは自分の収入で株や不動産など、不労所得を生んでくれるものに投資するために使用します。

2人の給与が同じだったとして、この状態で何年も経つと金持ちは自分が投資した資産からの配当や家賃収入が給与収入に加わって豊かになる一方、貧乏人はローンで購入した高級品の支払いで給与から出ていく金額が増えて貧乏になる。

「金持ちは豪邸や高級車を持っている」みたいな外面にとらわれてはダメで、コツコツ投資してきた膨らませてきた資産からの不労所得が次第に増えていくことによって高級品を買えるようになったのだという、裏側をしっかり理解しましょう、というのがこの本の内容です。

二宮翁夜話

同じような話で参考になるのが「二宮翁夜話」です。これは江戸時代に困窮した100を超える村々を再建したという凄まじい実績を持つ二宮尊徳の話した内容をまとめた書籍になります。二宮尊徳自身が語る「どのように生活するべきか」「どのように生きるか」という人生哲学が語られています。

二宮尊徳というと昔の小学校に像があって、夜中に勝手に歩きだすという「学校の怪談」とか、昔の古臭い道徳、みたいなイメージがあるかもしれませんが、当時の普通の農民相手に語られた内容はとても分かり易いものです。しかも多くの村を復興させてきた尊徳自身の経験に裏打ちされたものですから、大変説得力があります。

二宮尊徳の語る貧困からの脱出方法は「分度」と「推譲」という2つに尽きます。「分度」とは自分の生活に使う限度額を決めるということ。「推譲」とは自分のお金を他人に譲るということです。

どういうことかというと、二宮尊徳は村を再建するにあたって農民の収支を調査し、一定の金額に生活費を定めます。この金額は収入よりも低く抑えられており、これを守ることを義務付けます。これを「分度」といいます。

「分度」を定めると収入と分度の差額が僅かであっても発生します。それを他人に譲ることを「推譲」と言います。そのまま受け取ると慈善活動のように思われますが、実際に尊徳が行ったのは、各家から発生した差額をプールして、村の用水工事などを実施することでした。それによって村全体の生産力が向上して生活に余裕が生まれてくる。要するに節約したお金を公共事業に投資することで村全体が豊かになるような仕組みを作ったのです。

これは金持ち父さんの「自分の収入から資産に投資しろ」という教えと同じことなのです。私は二宮尊徳の本を読んで、まさか金持ち父さんと同じ内容が出てくると思わずにビックリしたのですが、この本もお金に関する考え方、向き合い方を教えてくれる内容で大きな影響を受けました。

本多静六自伝 体験八十五年

最後に紹介するのは本多静六という林学博士の自伝になります。日比谷公園や明治神宮の設計に携わった人物で、実業の世界に入らず、大学からの給与を元手に莫大な財産を築き上げたことから「元祖サラリーマン投資家」等とも言われています。

本多静六は大変な貧乏の中で苦学して、努力に努力を重ねてヨーロッパに留学して山林を扱う林学を学びました。そして帰国後に帝国大学の教員として始めてまとまった給与を貰える立場になります。これまで貧乏にあえぐ生活を送っていた静六は貧乏征伐を志して計画を立てます。

自伝の中で述べられている本多式貯蓄法は給与の1/4を強制的に天引き貯金するもので、大学の給与があったとはいえ、当時のことなので遠くの親戚などが上京して居候したりするので、1/4を天引き貯金すると給料日前はご飯にごま塩だけという生活に陥るくらい苦しかったそうです。

しかしそれにもめげずに1/4貯金を続けた結果、貯金した資金を投資に回し、投資からの収益の1/4は再び貯金に回るものの、残りは生活費に繰り入れられるので、徐々に生活は改善していき、ついには10数回に及ぶヨーロッパ視察旅行を実現できるくらいにまで資産が増大します。

本多博士はそうして豊かになった資産を使って自身の仕事にますます打ち込み、知見を広め、数多くの著作の執筆、事業へ参画しました。本多静六を紹介する本のサブタイトルには「日本の森林を育てた人」と付けられるほどの人物です。単なる投資という範囲にとどまらず、私自身の生き方を改めて考えさせられました。

ポートフォリオの作り方

ポートフォリオの組み立て

現在の収入の中から二宮翁のいう「分度」を定めたら、次は資金作りです。

私は会社員になってから月3万円とボーナスの全額を強制的に貯金することにしました。普段の生活に使う常用口座に生活費3か月分、それ以上の分を生活防衛資金として別口座に蓄え、生活費の1年分を確保。

それが出来てからは株式投資の口座に順次繰り入れていき、今後有望と思われる会社の株式に投資することを繰り返しました。図にすると下記のような感じです。

収入と支出を明確にするためにエクセルで小遣い帳を作成し、天引き後の金額で毎月黒字を出すべく工夫しました。毎月の支出を固定費と変動費に分類し、変動費を抑えるために会社近くの安い定食屋を開拓したり、飲みに行く機会を調整したり。

それでいて自分の仕事に資するような努力を続けるという本多博士の教えに従い、資格取得の勉強に打ち込んだりと、なかなかストイックな生活をしていたと思います。

FXの投資資金

FXの投資資金もポートフォリオ構成の一環で作り、100万円からスタートしましたが、前知識のないところで商材だけを買って取り組んでも上手くいかず、メールサポートに質問しまくったり、セミナーに参加して講師を捕まえて質問攻めにしたりして、少しでもトレードというものの理解を深めて成果を上げようと取り組みました。

なかなか上手く勝つことができず、徐々に資金がすり減っていきましたが、天引き貯金効果である程度貯まったら+10万円投入みたいにしてトレードし続けましたので、FXの口座資金が減って「人生終わった」みたいな状況にならず、生活面の不安は一切なかったということは、ここに書いたお金に対する考え方とポートフォリオ作りの仕組みがうまく機能したということだと思います。

ただ、いきなり100万円のリアル資金でトレードする必要はなかったというのが反省点で、10万円を入金して0.01ロットのトレードで継続的に勝てるようになるまでは練習と割り切ることが大切だと考えています。(もしくはデモ口座を開設する)

別記事にしていますが、FX自体は勝ち続けられるスキルを身に着ければ小資金からでも問題なく資産を増やせるので、はじめから大きなお金を入れる必要はまったくありません。